1番「Are you Happy?」な曲。二宮和也「また今日と同じ明日が来る」感想
嵐のニューアルバム「Are you Happy?」がリリースされました。ラジオやワイドショー、Mステで先行発表されていたリード曲「Don't You Get It」のイメージから「お前ら5万人元気にしてやるよ!!幸せにしてやるよ!!」*1なテンションのアルバムなのかな、と想像してました。1曲目から潤くん曲だしね。
ところがいざ聞いてみたら、想像とは違う表情の曲たちが溢れ出してきた…!
全体を通してはシングル「I seek」「復活LOVE」の影響からか、とってもおしゃれでちょっと懐かしい雰囲気でまとめられてます。ドラマセカムズの世界観に似た感じがする。それくらいシングルの影響って凄い。アルバムの顔になる部分だからね。夜の横浜で聴きたいね(雑)
そんな中やっぱり気になるのは、二宮和也ソロ曲「また今日と同じ明日が来る」。本人も「ハッピーじゃない」など散々言っていたこの曲。
最高傑作。
まじでこれに尽きる。全てにおいて素晴らしい。では、思ったことつらつら書いていきます。
- ハッピーじゃないけど
確かにこれはハッピーじゃない。でも1番「Are you Happy?」な曲です。
冒頭で言ったように、私はこのアルバムを「幸せにしてやるよ!!」なアルバムだと思ってました。潤くんの影響力は凄いなぁってことですが、直訳すればこれは「幸せですか?」という問いかけ。
公式サイトには
「Happy」というテーマのもと、「嵐が思う今の嵐」を表現
聞く人すべてを包み込みながら、さらに歩みを進める嵐の現在進行形をパッケージ
と記載されてます。嵐さんに「幸せですか?」と問われているのは私たち「聞く人」。それら「すべてを包み込みながら、さらに歩みを進める」という深いコンセプトになってる訳です。ただ単に「俺らハッピー!お前らハッピー?みんなハッピー!!」っていう薄っぺらなアルバムではないんです。そう決定付けているのか「また今日と同じ明日が来る」。
「幸せですか?」という問いかけよりさらに突っ込んだ問いかけ、「今の毎日で満足してる?」というメッセージがあります。
「僕」の元を離れてしまった「君」を、「君」との日々を思い出したり忘れたりして、何もなくただつまらない日々を送っていく。毎晩のように「頭の中くすぐられてるような」気持ちに襲われる。「君」の声を聞けたら、今の思いを断ち切れるかもしれないけれど、そんなこと叶うはずもなく「輝きに満ち溢れた世界」なんて見えてこない。結局「また今日と同じ明日が来る」。「君」を失ったその後から、何も変わらない、繰り返しの日々は続く。
「今の毎日で満足してる?」という問いかけが込められたこの曲ですが、この主人公は今の毎日で満足してるか?というと、満足してるかどうかの話じゃないですね。結局繰り返しの日々を送る他に手段は無いので。
ただこの曲を聞いた私たちがどう感じるかで、私たちの日々は変わるかもしれないです。きっとこれはそういう曲。アルバムコンセプトを1番汲み取り、ひとつの形として表現されている曲だと思います。「Are you Happy?」の核となる曲なんです。
- 「虹」と「それ君」の続編なの?
正直それを考えて作られたわけでは無いと思ってるけれど、そういう解釈もできます。「虹」で優しい恋の思い出を語り、「それ君」で亡くなった恋人への思いを綴り、「また明日」で亡くなった恋人がいない日々を繰り返す。これじゃ何にも救いようがなくて可哀想すぎるけど、「それ君」の後なら「また明日」の状況に行き着く他無いですね。
「虹」と「それ君」と比べると歌詞に句読点が無いことから、前2曲がお互いに宛てた手紙だとすれば「また明日」は完全なひとりごとなのではないか、と推測できます。「声を聴かせて」と「君」に宛てた歌詞も出てきますが、届かない事が分かってるので句読点は無く、全部ひとりごとです。句読点をつけて誰かに届ける、きちんとした文章として完成されていない。それが前2曲との差別化にもなってます。*2
ただ、前2曲がなくても「また明日」は1曲だけで味わうことができます。続編として作られてはいないと私が思うのはそういう理由からです。「また明日」はあくまでも「Are you Happy?」のために存在する曲なので。
- 歌の演技力
二宮和也の歌の強みは「歌い方を変えられる」演技力です。音域の広さも相まって、嵐のバラエティに富んだ曲に対応できる力はグループ随一。前作「MUSIC」は曲調に合わせて可愛く明るく、前々作「メリークリスマス」は不器用な男の子のようなちょっとした荒々しさがありました。
今作「また明日」は繊細かつ丁寧な歌い方になってます。また、二宮ソロには珍しく囁くパートがあります。
そんな日々が懐かしくて
また考察になりますが、囁かれたこの言葉はきっと本来大きな声では言えないことでしょう。「君」を失いつまらない日常を過ごしている中で、昔の思い出に浸ってなどいられないのかもしれません。
早口に言葉を連ねて、「君」に届かないけれど問いかける。その問いかけが「聞く人」私たちを揺さぶり、なにか大切なことを教えてくれるんです。
- 次に「明日」が来る
この曲はピアノの単音で始まり、ピアノの単音で終わります。その後始まるのが「Daylight」。Daylightは日光、夜明けという意味です。つまり、アルバムの中で次の明日がやってくるんです。よく考えられた曲順だと思いませんか?しかも「Daylight」は綺麗なピアノの旋律で始まります。「また明日」の寂しい単音とは違う、美しく流れる旋律が次の朝を連れてきます。力強く一歩を踏み出して今の状況を変えようと歩み出したかのような、爽やかで晴れやかな気持ちにさせてくれます。そして、「Daylight」のラップが凄く「また明日」の主人公に語りかけているような詞なんです。
勝ち目なんてもう全くない状況
灯りの見えぬ道路
かすか光る非常灯
希望と信じ進む航路
方向示し続けてる僕のノート
誰か泣いてる
痛み抱いてる
道がいまは開いてる
"believe in my self"
未来へ誓って
過去が未来を照らしてく
「僕のノート」というフレーズは「99.9」の台本から拝借したと櫻井翔は語っていましたが、「また明日」の主人公にとっての「僕のノート」は「君」との思い出が詰まった日記や落書き帳だったら…と想像してしまいました。「未来」を照らしてくれる「過去」はもちろん「君」との日々の思い出。「過去」だけに縛られた繰り返しの日々から抜け出し「君」との決別を誓った、と考えられます。
もちろん「Daylight」が「また明日」のために作られたアンサーソングでない事は分かっています。でもこの曲順じゃやっぱり考えちゃうじゃないですか。泣けるわこの野郎。
さてさて、めっちゃ書いちゃいました。要するに今年の二宮ソロは最高傑作。全人類に聞いてほしいレベル。ライブも楽しみですねー!多分踊るのかな。今からワクワク!!!
では、お粗末様でした!